この島国においては、【妖怪変化(ようかいへんげ)】と呼ばれる魔物が存在します。
多くの場合、妖怪は人の営みを妨げるため、庶民は仕事人に退治を依頼します。
仕事人にとって妖怪との対立は避けられない事なのです。
妖怪変化は大きく分けると二種類あり、
狐狸や河童など野生動物が進化して人の形を成した物を
【妖魔変化(ようまへんげ)】と呼び、
から傘やろくろ首など物や事象が時を経て自我を持った物を
【怪異変化(かいいへんげ)】と呼びます。
妖魔変化は人間と長い歴史の中で対立してきましたが、
怪異変化の多くは怨念や残留思念の影響で突発的に誕生したものです。
例えば【幽霊】などは死者の無念から生まれたもので、
その思念や魂が猫に憑依することで【猫又】になります。
一方【から傘】などは傘を捨て行く人の多さや、傘を使った子供の悪戯から産まれた
教訓付きの都市伝説でしたが、広く知れ渡り民間信仰の域まで達したため
都市部で大量発生するようになりました。
このように、物に対する信仰・執着・悪意などによって生まれた
怪異変化のことを【付喪神(つくもがみ)】と呼びます(九十九髪の表記もあり)。
また、生活や戦闘に役立てるため人為的に創造した憑喪神を【式神】と呼びます。
京の都は四神(青龍・朱雀・白虎・玄武)の信仰から創造した式神で守られています。
妖怪変化の類は肉体的損傷や依り代の破壊で滅ぼすことが出来ますが、
妖魔にはより強い妖の力を、怪異は神聖な力を持って容易く滅ぼす事が出来ます。
しかし、長い年月をかけて修行した妖魔は【天狗】に、
多大な信仰心を得た怪異は【八百万の神】の一員となり、その弱点を克服します。
北方の蝦夷地には、天狗や山神の治める魑魅魍魎の国が存在するとも言われ、
幕府の最高権力者【征夷大将軍】の役職が制定されたのは、蝦夷地に住む
妖怪変化を討伐するためとも言われています。
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